Revenue Recognition (収益認識) 方法
Revenue Recognition は他の Stripe オブジェクトと連携し、収益の認識方法に対してインテリジェントなデフォルトの設定を提供します。
Revenue Recognition では、サブスクリプション、請求、1 回限りの支払い、返金、不審請求の申請など、Stripe 内で発生したすべての取引がミリ秒単位で自動的に計算されます。
注
収益認識の要件はさまざまな要因によって異なるため、上記のパラメータがお客様のビジネスに適合しているとは限りません。ビジネスに適用される要件を理解して遵守し、それに応じてビジネスをモデル化する必要があります。
勘定科目表
収益認識は、ビジネス活動から生じる借方と貸方を追跡する複式簿記を基盤として構築されます。
デフォルトの勘定科目表と、それらの勘定科目に影響を与える借方と貸方を理解すると、Revenue Recognition を最大限に活用できます。
Revenue Recognition のためのデータモデリング
データモデリングを理解すると、Revenue Recognition についての理解が深まります。一般的な Stripe リソースでの Revenue Recognition の処理について以降でご紹介します。
サブスクリプションと請求処理
サブスクリプションとインボイスは、各取引に関する詳細な情報が含まれている上位のリソースです。
サブスクリプションではサイクルごとにインボイスが作成されます。各サブスクリプションアイテムがインボイスのラインアイテムに対応します。各ラインアイテムの期間には、サブスクリプションアイテムの期間が自動的に入力されます。
収益認識では、インボイスの各ラインアイテムが独自の履行義務として扱われます。インボイスが確定した時点で、認識可能な金額の合計が繰り延べられ、その後、インボイスの各ラインアイテムの期間で均等に償却されます。
インボイスのラインアイテムに期間が設定されていない場合、そのインボイスのラインアイテムの金額は、インボイスの確定時に全体が認識されます。データインポート機能を使用してインボイスデータを設定するか、ルールを設定してインボイスのラインアイテムを認識する時点およびその方法をカスタマイズします。
アップグレード、ダウングレード、割引、税金などが含まれるサブスクリプションとインボイスの具体的なシナリオが、Revenue Recognition でどのように処理されるかの詳細と例については、サブスクリプションと請求処理のページをご覧ください。
1 回限りの支払い
ダッシュボードや Charges API、PaymentIntents API で作成された 1 回限りの支払いには、インボイスほど多くの情報は含まれません。
サービス期間やフルフィルメント情報がないため、デフォルトでは、1 回限りの支払いは支払いが発生すると即時認識されます。
データをインポートして、サービス期間を追加したり、支払いを複数の収益認識スケジュールに分割したりできます。こうすることで、収益認識の動作をカスタマイズして、支払い額、説明、顧客のメールなどのルールを設定できます。
1 回限りの支払いが Revenue Recognition でどのように処理されるかの詳細と例については、1 回限りの支払いのページをご覧ください。
返金と不審請求の申請
Revenue Recognition では、計上された売上を相殺するマイナス収益を生成して、返金や不審請求の申請が処理されます。
計上された売上と前受収益の両方をともなう取引については、計上済みの部分が返金または不審請求の申請のいずれかのマイナス収益勘定に追加され、これによって前受収益が相殺されます。
返金や不審請求の申請が Revenue Recognition でどのように処理されるかの詳細と例については、返金と不審請求の申請のページをご覧ください。
外部取引
インボイスを使用して、Stripe 外で回収された収益を追跡できます。通常のインボイスと同じようにインボイスを設定し、ダッシュボードで直接、または API の paid_out_of_band
オプションを使用して、そのインボイスを支払い済みとしてマークします。
Stripe 外で支払い済みとマークされたインボイスは、現金勘定ではなく、外部資産勘定に計上されます。
注意
Stripe 外の財務データを Revenue Recognition に連結する場合は、データインポートのページをご覧ください。
複数通貨
ビジネスが複数の通貨で取引を処理している場合、収益を正確に認識するのは複雑です。
Revenue Recognition は、アカウントの売上処理通貨に基づいて取引を処理し、仕訳を生成します。売上処理通貨としてサポートされていない取引通貨を使用した取引は、アカウントのデフォルトの売上処理通貨に自動的に換算されます。
支払いおよび支払い済みインボイスには、実際の資金移動での為替レート (取引残高に反映される) が使用されます。請求書 (インボイスなど) の発行から支払いまでに時間差がある場合、その間の為替レートの変動による金額の差異が FxLoss 勘定に追加されます。
複数通貨が Revenue Recognition でどのように処理されるかの詳細と例については、複数通貨のページをご覧ください。
データの可用性
Revenue Recognition は 1 日 2 回、0:00am UTC と 12:00pm UTC にデータを計算します。
0:00am UTC に処理されるデータには、前日の 12:00pm から 11:59pm UTC までのアカウントアクティビティーが含まれます。12:00pm UTC の更新には、同日の 0:00am から 11:59am UTC までのアクティビティーが含まれます。
データの処理には 16 ~ 72 時間かかる可能性があります。UTC から離れたタイムゾーンのユーザーについては、レポートに若干の遅延が生じる場合があります。PST で深夜のアクティビティーは、UTC では翌日早朝に相当するためです。
たとえば、2023 年 8 月 1 日の 0:00 am から 11:59 am UTC に発生したアカウントアクティビティーがあるとします。このアクティビティーは、Revenue Recognition レポートには 2023 年 8 月 4 日の 12:00 pm UTC までに反映されると予測できます。同様に、2023 年 8 月 1 日の 12:00 pm から 11:59 pm UTC までのアクティビティーは、2023 年 8 月 5 日の 0:00 am UTC までにレポートでアクセスできるようになります。
仕訳記入
Stripe のあらゆる請求アクティビティーで、一連の仕訳記入が生成されます。仕訳記入は取引の記録です。それぞれの仕訳記入は借方勘定と貸方勘定で構成されています。たとえば、インボイスを確定する仕訳では AccountsReceivable を借方記入し、DeferredRevenue を貸方記入します。インボイスの支払いでは、現金を借方記入し、AccountsReceivable を貸方記入します。
このような仕訳は資産、負債、資本、費用、収益の勘定科目で発生する場合があります。仕訳に表示される各勘定科目の定義について詳しくは、勘定科目表セクションをご覧ください。
以下の表は、一般的な仕訳記入に該当する請求アクティビティーを示しています。ダッシュボードのレポートタブに表示される借方および貸方のレポートを使用して、仕訳記入を CSV にエクスポートできます。また、イベントタイプ別の借方および貸方のレポートをダウンロードするオプションがあります。このレポートには、記録されているイベントの簡単な説明が記載されているため、それぞれの仕訳記入の性質を容易に理解できます。
注意
次の表はすべての仕訳を網羅しているわけではありません。仕訳は定期的に更新されます。特定の仕訳についてサポートが必要な場合は、Stripe のサポートページでチケットを作成してください。
借方 | 貸方 | 定義 |
---|---|---|
売掛金 | 前受収益 | インボイスが確定される |
未請求売掛金 | 未請求のインボイスアイテムが請求される | |
利用手数料 | 外注費を含むインボイスを確定する | |
仮受消費税 | 税金を含むインボイスを確定する | |
回収不能金 | 売掛金 | 請求書を回収不能とマークする |
保留中の現金 | 保留中の ACH を含むインボイスを回収不能とマークする | |
回収可能 | 顧客残高によって一部支払い済みのインボイスを回収不能とマークする | |
現金 | 売掛金 | インボイスが支払われた |
顧客残高 | 顧客のマイナス残高への支払い | |
除外項目 | 現金は除外 | |
保留中の現金 | インボイスの ACH 支払いが完了 | |
回収可能 | 前回、前受収益残高から調整された金額に対して、不審請求の申請で主張が認められた | |
ConnectTransferLoss | 現金 | 送金による損失 |
クレジットノート | 売掛金 | 未払いのインボイスで前払いのクレジットノートが発行される |
顧客残高 | 後払いのクレジットノートが顧客残高に貸方記入される | |
ExternalCustomerBalance | 後払いのクレジットノートが外部の顧客残高に貸方記入される | |
顧客残高 | 顧客残高調整 | 顧客の所有金額を減らす |
顧客残高調整 | 顧客残高 | 顧客の所有金額を増やす |
前受収益 | 現金 | 返金および不審請求の申請によって発生 |
収益 | 収益が認識される | |
外部資産 | 売掛金 | インボイスを Stripe 外部で支払い済みとマークする |
返金 | 現金 | 返金 |
仮受消費税 | 顧客残高 | 税金を含むインボイスのクレジットノートが顧客残高に貸方記入される |
ExternalCustomerBalance | 税金を含むインボイスのクレジットノートが外部の顧客残高に貸方記入される | |
未請求売掛金 | 収益 | 未請求のインボイスアイテムで売上が計上される |
未請求無効化 | 未請求売掛金 | 未請求のインボイスアイテムが削除される |
無効化 | 売掛金 | インボイスを無効化する |
回収不能金 | 回収不能のインボイスを無効化する | |
顧客残高 | 顧客残高によって一部支払い済みのインボイスを無効化する |
上記のアクティビティーはすべてプラスの金額に基づいています。重要な点として、これらの請求アクティビティーは差戻しできます。差戻しのアクティビティーは、マイナスの金額のインボイスラインアイテムでアクティビティーが開始されたときに発生します。
マイナスのラインアイテム
ラインアイテムの金額が支払われた金額より多くなった場合にマイナスのラインアイテムが発生します。これは、商品レベルが変わったときのサブスクリプションのダウングレードまたはアップグレードでよく発生します。
ここでは、ダウングレードによって発生するマイナスのラインアイテムが含まれる仕訳記入の例を示します。
- 4 月 1 日に、$90 USD の月次サブスクリプションのインボイスが作成され、顧客が支払いを行う。
- 4 月 21 日に、顧客が $30 USD のサブスクリプションへのダウングレードをリクエストする。これにより、サブスクリプションの残りの時間に対する未請求のラインアイテムが 2 件作成される。
- il_1 は新しいプランでの残り時間に対する $10
- il_2 は以前のプランでの残り時間に対する $-30
- 5 月 1 日に、ダウングレードによって作成されたラインアイテムと、5 月分の新しいラインアイテム il_3 を含むインボイスが作成される。顧客は同日インボイスの支払いを行う。
- 5 月 4 日に、顧客は 5 月分のインボイスの全額返金をリクエストし、この結果ダウングレードによって作成されたラインアイテムと、新しい 5 月分のラインアイテムの全額返金が発生する。Stripe は返金を処理する。
日付 | 借方 | 貸方 | 金額 | ラインアイテム |
---|---|---|---|---|
2022/04/21 | 未請求売掛金 | 収益 | $10 | il_1 |
収益 | 未請求売掛金 | $30 | il_2 | |
2022/05/01 | 売掛金 | 前受収益 | $30 | il_3 |
現金 | 売掛金 | $30 | il_3 | |
前受収益 | 収益 | $30 | il_3 | |
売掛金 | 未請求売掛金 | $10 | il_1 | |
現金 | 売掛金 | $10 | il_1 | |
未請求売掛金 | 売掛金 | $30 | il_2 | |
売掛金 | 現金 | $30 | il_2 | |
2022/05/04 | 返金 | 現金 | $10 | il_1 |
現金 | 返金 | $30 | il_2 | |
収益 | 現金 | $30 | il_3 |